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『ガラスの仮面』を考察してみた -頬に触れる意味-

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 「北島マヤの手が速水真澄の顔に振れる」の例としては

  1. 単行本の33巻:劇中劇「忘れられた荒野」の初日の晩
    ↑北島マヤが台風でずぶ濡れになった速水真澄を思いやり、青いスカーフで彼の前髪のあたりを拭く場面
  2. 単行本の36巻から37巻:山小屋
    ↑速水真澄が北島マヤに自分の本音(彼女への想い)を話している際、無意識に北島マヤの頬に手で触れようとした場面
  3. 単行本47巻:アストリア号の甲板
    ↑速水真澄の依頼で北島マヤが劇中劇「紅天女」の阿古夜(舞台の主人公)の愛の告白を演じた際、マヤが背伸びをして速水真澄の頬に触れた場面

の3つが思い浮かびます。

忘れられた広野の初日打ち上げで北島マヤは、台風でずぶ濡れになった速水真澄の髪を青いスカーフで優しく撫でるように拭きます。速水真澄は一瞬青ざめて驚き、すぐ頬にほのかな照れ線が入ります。一瞬、少年のように目を見開き、感激した表情をします。自分を憎んでいるはずなのに、台風でずぶ濡れになった自分を心配してくれた北島マヤの優しさに感激しているようです。

マヤの手を握って、「拭くのはもういいよ」と優しい顔をしてとめているのは注目したい点です。人前で、しかもポジティブな状況で彼女の手を速水真澄が握っているのは初めてかもしれません。桜小路優が様子を見て青ざめたのは速水真澄が少年のように目を見開いて戸惑い、恥じらいっていたからではないでしょうか。

続いて速水真澄は、ジェーンが青いスカーフを握りしめて「スチュワート」と言うシーンは感動的だった、とスカーフを握りしめて語っています。舞台の場面で感動したのと共に、自分を思いやって濡れた髪を優しく拭いてくれたマヤへのありがとうの気持ちも感じ取れます。

共演者の桜小路優が割って入るので、それ以上の進展はありませんが、桜小路優が北島マヤの肩を優しくつかんで速水真澄から遠ざけようとするところに愛情と触れることの重要さを考えさせられます。

単行本34巻に登場した速水真澄の子ども時代から振り返って考えると、義父 速水英介に殴られている場面はありました。しかし実の父や母を早く亡くあかちゃんの頬をなでる母親したため、速水真澄が第三者に優しく顔や髪の毛に撫でられたこと、触れられた事はほとんどなかったような節があります。

他の人の髪の毛や頬に触れる行為は一般的には優しさら愛情表現に考えられます。北島マヤは単行本33巻の時点では速水真澄が紫のバラの人だと気がついていませんが、無意識に彼を意識していた事が手を差し伸べる行為から私見では感じられます。

梅の里の「山小屋」の時は速水真澄と北島マヤは二人きり。(梅の里にいる時に嵐になり、2人で山小屋に避難したため。)この時、速水真澄はマヤ以外の人間がいないので「社会的な立場」(大都芸能社長・速水真澄)としての振る舞いではなく、一個人としてマヤへの想いをもらす場面があります。

普段は社員や取引先、義父の目などを気にして「仕事のことしか考えていない冷酷な社長」を演じている速水真澄。人前では北島マヤに誤解をされて嫌われても言い訳をしません。「仕事のことしか考えていない冷酷な社長」のキャラクターにそって冷たい言葉でマヤに言葉を返します。

そんな彼が本音をもらす山小屋のシーンは、「大都芸能社長・速水真澄」という「仮面」から垣間見える素顔(本音)との対比がスリリングです。

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