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【ネタバレあり】天海祐希さんが主演した『左手に告げるなかれ』(原作・渡辺容子)は、原作が賛否両論だったのになぜ面白かったのか?

左手
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先日(2014.9.2)、BSフジの再放送で天海祐希さんが主演した『左手に告げるなかれ』を観ました。1997年の2時間ドラマです。

原作は第42回江戸川乱歩賞を受賞した渡辺容子さんの『左手に告げるなかれ』。人物描写・心理描写がとても面白くて、最後まではらはらしてみました。

参考:渡辺 容子『左手に告げるなかれ

406208385X
講談社 1996-09

あらすじは、殺人の容疑をかけられた主人公・八木薔子(やぎ しょうこ)が自分の容疑を晴らすために、元不倫相手や探偵と共に真相に迫るという話です。

左手に告げるなかれ

スーパーで保安員(万引きをしている人を監視・捕まえる人)をしている薔子が、殺人の容疑をかけられたのは、不倫をしていた元上司の妻が殺害されたからです。※あらすじや登場人物の説明は、WikiPedia「左手に告げるなかれ」に詳しく書かれています(オチを除く)。

私の感想を一言でいうと、

です。 ↑ツイートでは葉山と書いてしまいましたが、正しくは葉室です。ごめんなさい。

天海祐希さんがキレイで、表情が可愛いくて・・・

天海祐希さんが宝塚を退団して2年くらいの時のドラマ。大変お美しい上に、聡明さが伝わります。石黒賢さんの葉室はさわやかなのに、どこか悲しげだったり、いかがわしい顔をしたり、陰影がありました。目や表情で物語るところが良かったです。 このドラマの天海さんは、以下の映画パンフレットに近いビジュアルでした。

参考:映画パンフレット 「クリスマス黙示録/クラインゲ・フリーマン」監督キオニ・ワックスマン/クリスト・ガンズ 出演 天海祐希/マーク・ダカスコス
映画パンフレット 「クリスマス黙示録/クラインゲ・フリーマン」監督キオニ・ワックスマン/クリスト・ガンズ 出演 天海祐希/マーク・ダカスコス

※ドラマの写真はBSフジの公式ページ「左手に告げるなかれ(再放送)」に載っています。

 原作は賛否両論!?

しかし、Amazonレビューでは批判的な感想も半分くらいあり、びっくり。主人公・薔子(しょうこ)が仕事しないで探偵のまねをしすぎとか、主人公と不倫していた元上司の木島は単なる中年で魅力が無いなど、具体的な内容が多かったです。

ドラマだと主人公と不倫していた木島は伊武雅人さんが演じているので、魅力的な中年男性。伊武さんがおちゃめで、色気たっぷりなのがとてもステキ。主人公が不倫したくなってもおかしくない気がしたのですが・・・。

参考:伊武のすべて
伊武のすべて

原作の技巧的な表現が批判されていた点は、私も凝り過ぎだなと感じました。※あとで確認しました。でも、ドラマだと俳優さんが感情を表情・動きで表現しているので、違和感なしでした。

ストーリーは実に古典的なのだけど、天海さんの聡明な美女役が実に良い。したがって、天海さんのファンにはたまらない作品です。ですが、ミステリーが好きな人にはトリックがチープに思えるかもしれません。

この作品はミステリーと思って読むより、人間ドラマと思って詠む方が楽しめます。

 石黒賢さんはなぜ実力派俳優として生き残ったのか?

実写版の『左手に告げるなかれ』では、さわやかなイメージの石黒賢さんが、殺人犯も演じていたのが良かったです。同一人物が二人の人間を演じて犯罪を犯すという設定です(石黒さんが探偵・葉室と、殺人犯の三木を演じました。)。

なので、俳優さんがちゃんと演じ分けられるか、どこかに同一人物である事が残せるか、がポイントです。

葉山と三木では見た目がまず違います。

【葉室と三木のみため(ドラマ版)】

  • 葉室はシャツとスラックスをはいている。探偵業だが清潔感がある雰囲気。
  • 三木は出っ歯でめがねをかけている。ニット帽(?)をかぶってボサボサな髪型をしているように見える。

さらに石黒さんは話し方や歩き方も変えています。

【葉室と三木の話し方(ドラマ版)】

  • 葉室は石黒賢さんの声・話し方で話している。
  • 三木はささやくような、おどおどした話し方で話している

【葉室と三木の歩き方(ドラマ版)】

  • 葉室は普通に歩いている
  • 三木は片足を引きずっている

WikiPediaの「登場人物」には、

 三木(みき) 705号室の住人。夜行性のフリーターで、独身のアイドルオタク男性。新薬実験のモニターアルバイトをしている。分厚いレンズの眼鏡におかっぱ頭、2本前歯が出ていてずんぐりした体形ながら、その容貌に似合わぬ繊細な声をしている。なぜか木島祐美子が世話をやいていたらしく、木島祐美子のことを”いい人”と評価する唯一の人間。

葉室(はむろ) 豊島区大塚に事務所をかまえる探偵社の探偵。年齢は27~8で中肉中背。見ようによってはエリートサラリーマンに見えなくもない清楚な雰囲気の持ち主。昔、木島祐美子に頼まれて八木と木島浩平の不倫を暴いたのは自分なので、そのことの罪滅ぼしに八木に協力したいと申し出てくる。母親は老人病院で付添い夫をやっていた。
※http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A6%E6%89%8B%E3%81%AB%E5%91%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%82%8C より引用

と書かれていました。石黒さんはちゃんと上記の点を考えた上で演じているのが伝わり、心にぐっときました。

葉室の人物設定は石黒さんのイメージそのもの。原作者の渡辺容子さんは石黒賢さんに演じてもらおうと想定した上で書かれたのでしょうか?

石黒さんは好青年な役が多いと思っていましたが、調べたところ1990年代から悪役にも挑戦されていました。『悪魔が来たりて笛を吹く』(1992年)の東太郎役は美青年な犯人でした。でも不細工だったり、さえない人の役ももどんどん挑戦された結果が、現在の実力派俳優につながったのではないでしょうか。

石黒賢さんはダークサイドに墜ちる演技がうまい

石黒賢さんが演じた探偵・葉室に心を鷲掴みされました。 石黒賢さん演じた葉室と、天海祐希さんが演じた主人公・薔子に注目して流れをまとめます。

【主人公・薔子と探偵・葉室の関係】

  1. 主人公・薔子が殺人犯に疑われている時、石黒さん演じる探偵・葉室が調査協力。
  2. 爽やかで、どこか影もあり、天海さん演じる主人公は心惹かれてしまう。
  3. だけど、薔子は心惹かれている探偵・葉山と、殺人犯・三木が同一人物であることを見抜く。
  4. 薔子は犯人の三木に捕まる
  5. ピストルを持った三木は主人公を殺そうとする。
  6. だけど、事件の真相を種明かしして問いかける主人公があまりに聡明。
  7. 三木は変装をといて正体を現し、真実を自ら話し出す。

石黒さん演じる葉山はなぜ別人格・三木として数年前から二重生活をしていたのか。殺人を犯さねばならなかったのか。トリックを明かす場面の石黒さんの表情が良かったです。元々は純粋さがあった人が、ある出来事をきっかけにダークサイドに落ちてしまった顔です。

石黒賢さんは善良だった人が悪い世界に転落した時の顔がとても上手です。たとえば『振り返れば奴がいる』の石川先生がスキルス性のがんを発症してから、悪に転落しかかる時もいい表情をされていました。

参考:振り返れば奴がいる 特典付きBOXセット [VHS]
振り返れば奴がいる 特典付きBOXセット [VHS]

純情で熱血な若者が、あるきっかけで性悪な顔に切り替わる、その瞬間の表情ががとてもいいのです。ちゃんと悪い奴の顔つきになりますよ。善人をちゃんと演じられるから、悪人になったときの対比がつくのでしょうね。

若いときの石黒さんはさわやかな笑顔がすてきという印象でした。ですが、悲しげな顔や殺されたときの顔も見事です。

中村敦夫さん、脚本家としてもすごいのでは?

参考:中村 敦夫 『簡素なる国

4062169606

ストーリーは古典的なトリックだけど、中村敦夫さんの脚本がうまく原作の弱点をフォロー。品良くユーモアがあるのも良かったです。

犯人が物語の最後で犯罪のトリックを自分からレクチャーするのはおかしいというAmazonレビューの批判は、薔子がこういうことでしょう?とあらましを話した後、犯人の三木に補足を言わせることで和らげている感がありました。

血文字のトリックがあり得ない感があったり、や犯人の殺人の動機が弱い点はありますが、原作で何人も死ぬ不自然さに比べればセーフな気がしました。

ラストシーンは原作と違うのも良かったのでは。天海祐希さんが横断歩道で伊武雅刀さんに笑顔を見せるラストは希望がもてました。天海さんの魅力に最後まで惹きつけられました。

石黒賢さんのめがねに注目したい理由

ちなみに本作と他の作品を見比べたおかげで、石黒賢さんが悪役を演じる時はメガネをかけて演じる事が多いと気がつきました。善人役の時はエリートを演じたショムニの右京さんのようにメガネなし。

真夜中の雨など、悪役の時はメガネをかけている傾向がありそうです。

参考:真夜中の雨 DVD BOX(6枚組)
真夜中の雨 DVD BOX(6枚組)

例外は悪魔が来りて笛を吹くの犯人役。没落貴族の美青年だったせいか、メガネなし、白いタキシードでした。HEROの検事役は悪役っぽい役でメガネありでしたが、犯人ではないし最後は主人公に謝ります。

悪役と言うには微妙です。悪役っぽい役の時はメガネありなのでしょうか? どちらにせよ、このドラマを観たおかげで、天海祐希さんと石黒賢さんのファンになりました。

天海さんが主演しているためか、このドラマはBSフジで数年に一回のペースで再放送されているようです。人気があるのでしょうね。録画機器を持っていないので、DVD化されて欲しいなあと願っています。

 

編集履歴:2014.9.9 22:44 画像を複数、追加しました。

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